ギリシャ&IHIC

フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

ギリシャ共和国(ギリシャきょうわこく)、通称ギリシャは、ヨーロッパの南東、バルカン半島最南端部に位置する共和制国家である。半島南部およびペロポネソス半島に加えエーゲ海を中心に存在するおよそ3,000もの島によって構成される。北は西からアルバニア、マケドニア共和国、ブルガリアと、東はトルコと国境を接している。本土の周囲は東にはエーゲ海、西はイオニア海、南は地中海に囲まれている。

ギリシャは地中海文明のルーツの一つであり、複数の文明の接点に位置する国としてヨーロッパ、アフリカ、アジアの歴史に大きな影響を与える。

現在のギリシャは国連、EUおよびNATOの加盟国である。1896年と2004年には首都アテネで近代オリンピックが開催された。

ギリシャ神話英雄の誕生

ギリシア神話においては、ヘーシオドスが語る五つの時代の最後の時代、すなわち現在である「鉄の時代」の前に、「英雄の時代」があったとされる。英雄とは、古代ギリシア語でヘーロース(heeroos, ηρω?)と呼ぶが、この言葉の原義は「守護者・防衛者」である。しかしホメーロスでは、君公とか殿の意味で支配者・貴族・主人について普通に使用されていた。

英雄崇拝の歴史
神話学者キャンベルは、英雄神話を神話の基幹に置いたが、彼の描く英雄とは、危険を犯して超自然的領域に分け入り勝利し、人々に恩恵を授ける力(force)を獲得した者である[69]。古代ギリシアの英雄は、守護者の原義を持つことからも分かる通り、超自然の世界に分け入って「力」を獲得する者ではない。文献や考古学によれば、ミュケーナイ時代には存在しなかった「英雄崇拝」が、ギリシアの暗黒時代を通じて、ホメーロスの頃に出現する。

ここで崇拝される英雄は「力に満ちる死者」であり、その儀礼は、親族の死者への儀礼と、神々への儀礼の中間程度に位置していた。祀られる英雄ごとで様々な解釈があったが、祭儀におけるヘーロースは、都市共同体や個人を病や危機から救済し恩恵を齎した者として理解された。このような崇拝の対象が叙事詩に登場する英雄に比定された。ときが経るにつれ、ヘーロースの範型に該当すると判断された人物、すなわち神への祭祀を創始した者や、都市の創立者などには、神託に基づいて英雄たる栄誉が授与され、彼らは「英雄」と見なされた。

ギリシアの英雄は半神とも称されるが、多くが神と人間のあいだに生まれた息子で、半分は死すべき人、半分は不死なる神の血を引く。このような英雄は、「力ある死者」のなかでも神に近い崇拝を受けていた者たちで、ヘーラクレースの場合は、英雄の域を超えて神として崇拝された。英雄は、都市の創立者として子孫を守護し、またときに、敵対する者の子孫に末代まで続く呪いをかけた。死して勲を残す英雄は、守護と呪いの形で、その死後に強い力を発揮した者でもある。

ゼウスの息子
英雄は古代ギリシアの名家の始祖であり、祭儀や都市の創立者であり名祖であるが、その多くはゼウスの息子である。ゼウスはニュンペーや人間の娘と交わり、数多くの英雄の父となった。

ダナエーと金の雨数々の冒険と武勇譚で知られ、数知れぬ子孫を残したとされるヘーラクレースはゼウスと人間エーレクトリュオーンの娘アルクメーネーのあいだに生まれた。ゼウスは彼女の夫アンピトリュオーンに化けて、更にヘーリオスに命じて太陽を三日間昇らせず彼女と交わって英雄をもうける。また白鳥の姿になってレーダーと交わり、ヘレネー及びディオスクーロイの兄弟をもうけた。アルゴス王アクリシオスの娘ダナエーの元へは黄金の雨に変身して近寄りペルセウスをもうけた。テュロス王アゲーノールの娘エウローペーの許へは、白い牡牛となって近寄り、彼女を背に乗せるとクレーテー島まで泳ぎわたった。そこで彼女と交わってミーノースを、またラダマンテュス等をもうける。

カリストーを誘惑するゼウスゼウスはまた、アルテミスに従っていたニュンペーのカリストーに、アルテミスに化けて近寄り交わった。こうしてアルカディア王家の祖アルカスが生まれた。プレイアデスの一人であるエーレクトラーとも交わり、トロイア王家の祖ダルダノスと、後にデーメーテール女神の恋人となったイーアシオーンをもうける。イーオーはアルゴスのヘーラーの女神官であったが、ゼウスが恋して子をもうけた。ヘーラーの怒りを恐れたゼウスはイーオーを牝牛に変えたが、ヘーラーは彼女を苦しめ、イーオーは世界中を彷徨ってエジプトの地に辿り着き、そこで人の姿に戻り、エジプト王となるエパボスを生んだ。エウローペーはイーオーの子孫に当たる。

アトラースの娘プルートーとのあいだには、神々に寵愛されたが冥府で劫罰を受ける定めとなったタンタロスをもうける。またゼウスはニュンペーのアイギーナを攫った。父親であるアーソーポス河神は娘の行方を捜していたが、コリントス王シーシュポスが二人の行き先を教えた。寝所に踏み込んだ河神は雷に打たれて死に、またシーシュポスはこの故に冥府で劫罰を受けることとなった。アイギーナからはアイアコスが生まれる。同じくアーソーポス河神の娘とされる(別の説ではスパルトイの子孫)アンティオペーは、サテュロスに化けたゼウスと交わりアンピーオーンとゼートスを生んだ。アンピーオーンはテーバイ王となり、またヘルメースより竪琴を授かりその名手としても知られた。プレイアデスの一人ターユゲテーとも交わり、ラケダイモーンをもうけた。彼は、ラケダイモーン(スパルテー)の名祖となった。エウリュメドゥーサよりはミュルミドーン人の名祖であるミュルミドーンをもうけた。

他の神々の息子

ウーラニアーアポローンは数々の恋愛譚で知られるが、彼の子とされる英雄は、まずムーサ・ウーラニアーとのあいだにもうけた名高いオルペウスがある(別説では、ムーサ・カリオペーとオイアグロスの子)。ラピテース族の王の娘コローニスより、死者をも生き返らせた名医にして医神アスクレーピオスをもうけた。予言者テイレシアースの娘マントーとのあいだに、これも予言者モプソスをもうける。ミーノースの娘アカカリスはアポローンとヘルメース両神の恋人であったが、アポローンとのあいだにナクソス島の名祖ナクソス、都市の名祖ミーレートス等を生んだ。ヘルメースとのあいだには、クレータ島のキュドーニスの創建者キュドーンをもうけた。

他方、ポセイドーンは、アテーナイ王アイゲウスの妃アイトラーとのあいだにテーセウスをもうけたとされる。またエウリュアレーとのあいだにオーリーオーンをもうけた(別説では、彼はガイアの息子ともされる)。テューローとのあいだに双生の兄弟ネーレウスとペリアースをもうけた。エパボスの娘でニュンペーのリビュエー(リビュアー)と交わり、双生児テュロス王アゲーノールとエジプト王ペーロスをもうける。ラーリッサを通じて、ペラスゴス(ペラスゴイ人の祖とは別人)、アカイオス、プティーオスをもうけた。アカイオスはアカイア人の祖とされ、プティーオスはプティーアの名祖とされる。オルコメノスのミニュアース人の名祖とされるミニュアースもポセイドーンの子とされるが、孫との説もある。

ヘーラーの息子のヘーパイストスは、アテーナイの神話的な王エリクトニオスの父とされる。彼はアテーナーに欲情し女神を追って交わらんとしたが、女神が拒絶し、彼の精液はアテーナーの脚にまかれた。女神はこれを羊毛で拭き大地に捨てたところ、そこよりエリクトニオスが生まれたとされる。

リュカーオーンは、アルカデイア王ペラスゴスとオーケアノスの娘メリボイア、またはニュンペーのキューレーネーの子とされる。彼は多くの息子に恵まれたが、息子たちは傲慢な者が多く神罰を受けたともされる。アルカディアの多くの都市が、リュカーオーンの息子たちを、都市の名祖として求めた形跡がある。また、アプロディーテーは、トロイア王家の一員アンキーセースとのあいだにアイネイアースを生んだ。アイネイアースは後にローマの神話的祖先ともされた。アイアの金羊毛皮をめぐる冒険譚「アルゴー号の航海譚」に登場するコルキス王アイエーテースは、ヘーリオスとオーケアノスの娘ペルセーイスの子である。

トロイア戦争の英雄であり、平穏な長寿よりも、早世であっても、戦士としての勲の栄光を選んだアキレウスは、ペーレウスと海の女神テティスのあいだの息子である。

英雄崇拝とその栄光

ヘーラクレース神殿跡ヘーラクレースとその数々の武勇譚は、ピエール・グリマルによれば、ミュケーナイ時代に原形的な起源を持つものであり、考古学的にも裏付けがあり、またその活動は全ギリシア中に足跡を残しているとする[76]。ヘーラクレースは神と同じ扱いを受け、彼を祭祀する神殿あるいは祭礼は全ギリシア中に存在した。古代ギリシアの名家は、争ってその祖先をヘーラクレースに求め、彼らはみずから「ヘーラクレイダイ(ヘーラクレースの後裔)」と僭称した。

アキレウスもまた、アガメムノーンなどと同様に、いまは忘却の彼方に沈んだその原像がミュケーナイ時代に存在したと考えられるが、彼は「神々の愛した者は若くして死ぬ」とのエピグラムの通り、神々に愛された半神として、栄誉のなか、人間としてのモイラ(定業)にあって、英雄としての生涯を終えた。彼の勲と栄光はその死後にあって光彩を放ち人の心を打つのである。

ギリシャ・イメージ

美彫グループ・ロゴマーク
ギリシャ&IHIC
ギリシャ&IHIC

 ギリシャ&IHICについて紹介しております